
事業活動によって排出される産業廃棄物は、法で定められた6種類(燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類)と政令で定められた14種類の計20種類に分類されています。適切な処理を行うためには、それぞれの種類と特徴を理解することが重要です。
本記事では、20種類の産業廃棄物のほかに、特別管理産業廃棄物やリサイクル法の対象となる産業廃棄物についても表にまとめて解説します。
産業廃棄物の種類一覧
番号 | 廃棄物の種類 | 主な発生源 | 特徴・具体例 |
---|---|---|---|
1 | 燃え殻 | ボイラー・焼却炉 | 石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃排出物、その他の焼却残さ |
2 | 汚泥 | 排水処理施設、各種製造業 | 排水処理後や生産工程で排出される泥状のもの(活性汚泥、ビルピット汚泥、カーバイトかす、ベントナイト汚泥、洗車場汚泥、建設汚泥等) |
3 | 廃油 | 自動車整備、工場 | 鉱物性油、動植物性油、潤滑油、絶縁油、洗浄油、切削油、溶剤、タールピッチ等 |
4 | 廃酸 | 化学工場、写真現像所 | 写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、各種有機廃酸類等、すべての酸性廃液 |
5 | 廃アルカリ | 製紙工場、染色工場 | 写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん廃液等、すべてのアルカリ性廃液 |
6 | 廃プラスチック類 | 製造業、建設業 | 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)等、固形状・液状のすべての合成高分子系化合物 |
7 | ゴムくず | 自動車部品工場 | 生ゴム、天然ゴムくず |
8 | 金属くず | 鉄工所、機械工場 | 鉄鋼、非鉄金属の破片、研磨くず、切削くず等 |
9 | ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず | 建設業、製造業 | ガラス類(板ガラス等)、製品製造過程で生じるアスファルト、コンクリートブロックくず、インターロッキングくず、レンガくず、廃石膏ボード、セメントくず、モルタルくず、スレートくず、陶磁器くず等 |
10 | 鉱さい | 製鉄所、非鉄金属工場 | 鋳物廃砂、電気炉等溶解炉かす、ボタ、不良石灰、粉炭かす等 |
11 | がれき類 | 建設業、解体業 | 工作物の新築、改築又は除去により生じたコンクリート破片、アスファルト破片その他これらに類する不要物 |
12 | ばいじん | 焼却施設、ボイラー | 大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法に定める特定施設又は産業廃棄物焼却施設において発生するばいじんで、集じん施設によって集められたもの |
13 | 紙くず | 建設業、製紙業、印刷業 | 建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去により生じたもの)、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業から生ずる紙くず |
14 | 木くず | 建設業、製材業、家具製造業 | 建設業に係るもの(範囲は紙くずと同じ)、木材又は木製品製造業(家具製造業)、パルプ製造業、輸入木材卸売業から生ずる木材片、おがくず、バーク類等、物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレットに係るもの |
15 | 繊維くず | 建設業、繊維工場 | 建設業に係るもの(範囲は紙くずと同じ)、衣服その他繊維製品製造業以外の繊維工業から生ずる木綿くず、羊毛くず等の天然繊維くず |
16 | 動植物性残さ | 食品加工業、医薬品製造業、香料製造業 | あめかす、のりかす、醸造かす、発酵かす、魚及び獣のあら等の固形状の不要物 |
17 | 動物系固形不要物 | と畜場、食鳥処理場 | と畜場において処分した獣畜、食鳥処理場において処理した食鳥 |
18 | 動物のふん尿 | 畜産農業 | 牛、馬、豚、めん羊、にわとり等のふん尿 |
19 | 動物の死体 | 畜産農業 | 牛、馬、豚、めん羊、にわとり等の死体 |
20 | 産業廃棄物を処分するために処理したもの | 産廃処理業 | 上記の産業廃棄物を処分するために処理したもので、他の産業廃棄物に該当しないもの(コンクリート固型化物など) |
特別管理産業廃棄物とは
産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性、その他人の健康又は生活環境に係わる被害を生ずるおそれのある性状を有するものを「特別管理産業廃棄物」として区分しています。通常の産業廃棄物と比較して、排出から処分までより一層厳しい保管方法や処理方法などが定められています。
種類 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
廃油 | 引火性の高いもの | 揮発油類、灯油類、軽油類など |
廃酸 | 腐食性の強いもの | pHが2.0以下の廃酸 |
廃アルカリ | 腐食性の強いもの | pHが12.5以上の廃アルカリ |
感染性産業廃棄物 | 医療機関等から排出される感染の恐れがあるもの | 使用済み注射針、血液の付着したガーゼなど |
特定有害産業廃棄物 | 重金属等の有害物質を含むもの | 廃PCB(ポリ塩化ビフェニル)、PCB汚染物、PCB処理物、廃水銀、廃石綿など |
リサイクル法の対象となる産業廃棄物
各種リサイクル法に基づき、特定の産業廃棄物は適正な処理と再資源化が求められています。
法令名 | 通称 | 対象品目 |
---|---|---|
特定家庭用機器再商品化法 | 家電リサイクル法 | 冷蔵庫(冷凍庫)、テレビ、洗濯機、エアコン |
資源の有効な利用の促進に関する法律 | 資源有効利用促進法 | パソコン、小型二次電池 |
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 | 建設リサイクル法 | コンクリート塊、アスファルト・コンクリート、木くず(建設資材) |
使用済自動車の再資源化等に関する法律 | 自動車リサイクル法 | 廃自動車、カーエアコン |
使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律 | 小型家電リサイクル法 | 携帯電話、デジタルカメラなど |
まとめ
産業廃棄物の適切な分類と処理は、環境保全と法令遵守の観点から非常に重要です。不適切な処理は環境問題を引き起こすだけでなく、法的責任を問われる可能性があります。各種リサイクル法の対象となる廃棄物についても、適正な処理と再資源化を心掛けなければなりません。
産業廃棄物収集運搬業を営む上では、運搬できる廃棄物か否かを判断するための大変重要な情報ですので、しっかりと理解しておくことが大切です。