日本と韓国の相続の違いは?手続き・法律・注意点をわかりやすく解説

日本と韓国は地理的にも文化的にも近い国ですが、相続制度にはいくつか重要な違いがあります。

基本的な仕組みは似ていますが、配偶者の相続分や法定相続人の範囲、代襲相続の考え方などに特徴的な違いがあります。また、韓国では近年、遺留分制度についても大きな変更がありました。

在日韓国人の方や国際結婚の家庭では、日本の制度だけを前提に相続を考えるとトラブルになることもあります。

この記事では、日本と韓国の相続法の違いについて、主なポイントを分かりやすく解説します。


日本と韓国の相続制度の基本

日本では、相続制度は民法に定められており、被相続人(亡くなった人)の死亡によって相続が開始します。

相続人となるのは、配偶者と一定範囲の親族です。

韓国でも民法に相続制度が規定されています。韓国民法は、ドイツ法などの影響を受けて整備されたため、基本的な構造は日本とよく似ています。

しかし、細かな制度には違いがあります。


法定相続人の範囲

まず、日本の法定相続人は次のとおりです。

日本の法定相続人

・配偶者(常に相続人)
・子
・直系尊属(父母など)
・兄弟姉妹

子がいる場合は子が優先され、子がいない場合は父母、その次に兄弟姉妹という順位になります。

一方、韓国の相続順位は次のとおりです。

韓国の法定相続人

・配偶者(常に相続人)
・直系卑属(子・孫など)
・直系尊属(父母・祖父母など)
・兄弟姉妹
・4親等以内の傍系血族(おじ・おば・甥・姪・いとこなど)

日本との違いとして、韓国では4親等以内の親族まで相続人になる可能性がある点が挙げられます。


配偶者の扱いの違い

日本と韓国の相続制度で大きく異なるのが、配偶者の扱いです。

日本では、配偶者は常に相続人となり、次の相続人と共同相続します。


配偶者+子
配偶者+父母
配偶者+兄弟姉妹

つまり、日本では配偶者と兄弟姉妹が共同相続人になる場合があります。

一方、韓国では次のようになります。

子がいる場合
配偶者+子

子がいないが父母がいる場合
配偶者+父母

子も父母もいない場合
配偶者のみ(単独相続)

つまり、配偶者がいる場合は兄弟姉妹や4親等以内の傍系血族は相続人になりません。

この点は日本との大きな違いです。


法定相続分の違い

法定相続分の計算方法にも違いがあります。

日本の場合

配偶者と子がいる場合
配偶者 1/2
子 1/2(人数で均等)

配偶者と父母の場合
配偶者 2/3
父母 1/3

配偶者と兄弟姉妹の場合
配偶者 3/4
兄弟姉妹 1/4


韓国の場合

韓国では、配偶者の相続分は次のように計算されます。

配偶者の相続分
=他の相続人の1.5倍

配偶者と子が1人の場合
配偶者 3/5
子 2/5

配偶者と子が2人の場合
配偶者 3/7
子 2/7
子 2/7

となります。


代襲相続の違い

代襲相続とは、本来相続人となるはずの人が被相続人より先に死亡している場合などに、その子などが代わって相続する制度です。

日本の代襲相続

日本では、代襲相続人になれるのは次の人です。

・孫、ひ孫など(直系卑属)
・甥、姪

つまり、血族のみが代襲相続人になります。

そのため

・子の配偶者(嫁・婿)
・兄弟姉妹の配偶者

などは代襲相続人にはなりません。


韓国の代襲相続

韓国では、日本とは異なり、配偶者も代襲相続人になる場合があります。

例えば次のケースです。

被相続人:父
長男:すでに死亡
長男の家族:妻と子

この場合

日本

代襲相続人
→孫(長男の子)のみ

長男の妻は相続人になりません。

韓国

代襲相続人
→孫 (長男の子)+ 長男の妻

つまり、被相続人から見て「嫁」も代襲相続人になります。

これは日本にはない制度です。


遺留分制度の違い

遺留分とは、一定の相続人に保障された最低限の相続分です。

日本の遺留分

配偶者・子
→法定相続分の2分の1

父母
→法定相続分の3分の1

兄弟姉妹
→遺留分なし


韓国の遺留分(近年の制度変更)

韓国では以前、兄弟姉妹にも遺留分が認められていました。

しかし2024年、韓国の憲法裁判所が兄弟姉妹の遺留分規定を違憲と判断しました。

その結果、現在は

配偶者・子
→法定相続分の2分の1

父母
→法定相続分の3分の1

兄弟姉妹
→遺留分なし

となり、日本と同様に兄弟姉妹には遺留分が認められていません。


国際相続では適用される法律に注意

日本と韓国に関係する相続では、どの国の法律が適用されるかが重要になります。

日本では原則として

相続は被相続人の本国法による

とされています。

例えば

・韓国籍の方が日本で亡くなった
・日本に不動産がある
・相続人が日本に住んでいる

といった場合でも、韓国の相続法が適用される可能性があります。

そのため、日本の制度だけを前提に手続きを進めるとトラブルになることがあります。


まとめ

日本と韓国の相続制度には共通点もありますが、次のような違いがあります。

・韓国では配偶者の相続分が他の相続人の1.5倍
・韓国では配偶者がいる場合、兄弟姉妹や4親等内の親族は相続人にならない
・韓国では子の配偶者も代襲相続人になる場合がある
・現在は日本と同様、韓国でも兄弟姉妹に遺留分はない

在日外国人の相続や国際結婚の家庭では、どの国の法律が適用されるかによって相続の結果が大きく変わることがあります。制度の違いを理解しておくことが重要です。