産業廃棄物収集運搬業を営むための許可申請について

産業廃棄物収集運搬業を営むためには、都道府県知事または政令市の市長から許可を取得する必要があります。無許可での業務は法律違反となり、厳しい罰則が科されるため、事前に適切な手続きを行うことが不可欠です。本記事では、許可取得の流れや必要要件について解説します。

産業廃棄物収集運搬業とは?

産業廃棄物収集運搬業とは、工場や建設現場などから排出される産業廃棄物を収集し、適切な処理施設まで運搬する業務を指します。この業務には環境保護の観点から厳格な規制が設けられており、適正な処理が求められます。

また、収集運搬の過程で「積替施設」を設置する場合は、通常の収集運搬業許可とは異なり、追加の要件が課されます。積替施設とは、廃棄物を一時的に保管し、その後別の運搬手段で搬出する施設のことを指します。積替施設を含む場合、施設の適正な管理が求められるほか、設置場所や構造についても基準を満たす必要があります。許可取得には、詳細な計画書の提出や環境影響評価が必要となる場合があるため、事前に行政への確認が重要です。

許可取得の必要性

産業廃棄物は、一般廃棄物と異なり、適切な処理が求められます。そのため、廃棄物処理法に基づき、収集運搬業を行う場合は行政の許可を受ける必要があります。無許可営業は罰則の対象となり、最悪の場合、営業停止や懲役刑が科される可能性もあります。

許可取得の要件

許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

人的要件

申請者(法人の場合は役員)が以下の欠格要件に該当しないことが求められます。

  • 禁錮以上の刑を受けて5年を経過していない
  • 廃棄物処理法違反で罰金刑を受け、5年を経過していない
  • 暴力団員でない

財産的要件

事業を適正に運営するための財務基盤が求められます。具体的には、

  • 債務超過でないこと
  • 許可申請時に一定額以上の自己資本を有すること

技術的要件

適切な運搬を行うために、講習を修了した者がいることが必要です。特に「産業廃棄物処理業講習会(収集・運搬課程)」を受講し、修了証を取得することが求められます。

設備要件

運搬に使用する車両や設備が適切であることが求められます。

  • 産業廃棄物に対応した車両を有すること
  • 車両に適切な表示(許可番号など)を行うこと

許可申請の流れ

許可申請は、以下の手順で行います。

  1. 事前準備
    • 許可申請書の作成
    • 必要書類(定款、登記事項証明書、財務諸表、講習修了証など)の準備
  2. 申請書提出
    • 事業を行う都道府県または政令市へ提出
    • 受付は予約制となっているため、事前に申請先の事務所へ確認が必要
  3. 審査・許可
    • 行政による審査の後、許可が下りる
    • 許可証が交付され、営業が可能に

許可取得後の義務

許可を取得した後も、以下の義務があります。

  • 事業報告: 毎年度、産業廃棄物の収集運搬実績を報告
  • 変更届: 役員変更や車両追加時には、速やかに変更届を提出
  • 更新申請: 許可の有効期間(5年間)満了前に更新申請を行う。受付は許可期限の3ヶ月前から行っています。

まとめ

産業廃棄物収集運搬業を適正に運営するためには、許可の取得が不可欠です。申請には多くの要件があるため、事前準備をしっかりと行い、スムーズに手続きを進めることが重要です。また、許可取得後も適切な運営を継続し、定期的な報告義務を果たすことで、信頼できる事業者としての地位を確立できます。

許可申請に関して不明点がある場合は、行政書士などの専門家に相談するのも一つの方法です。