
建設業許可を取得するためには、さまざまな要件を満たす必要があります。その中でも重要なのが「専任技術者」の設置です。専任技術者とは、建設業の技術的な管理を担う責任者であり、各営業所ごとに配置が求められます。本記事では、専任技術者の役割や要件、設置に関する注意点について解説します。
専任技術者の役割
専任技術者は、建設業において技術的な面での責任を負う存在です。具体的には、以下のような役割を担います。
- 工事の品質管理と技術指導:適切な施工が行われるように管理する。
- 技術的な相談や指導:現場で働く職人やスタッフに対して技術指導を行う。
- 法令遵守の管理:建設業法や関連法規に基づいた適正な工事を実施する。
- 営業所の技術的な代表者:許可業種に関する技術力を持つ代表者として、営業所に常駐する。
専任技術者の要件
専任技術者になるためには、一定の資格や実務経験が必要です。主に以下の3つの要件のいずれかを満たす必要があります。
(1) 指定学科を卒業し、実務経験を積んでいる
- 高校または大学で、建設業に関する指定学科(工学系や建築系など)を卒業していること。
- 高卒の場合は5年以上、大卒の場合は3年以上の実務経験が必要。
(2) 国家資格を取得している
- 1級または2級施工管理技士(建築・土木・電気・管工事など)
- 技術士(建設部門)
- 一級または二級建築士
- その他、国が定める資格
(3) 十年以上の実務経験がある
- 資格を持っていない場合でも、10年以上の実務経験があれば専任技術者になることが可能。
- ただし、実務経験を証明するために、過去の工事経歴や雇用証明書などの提出が必要になる。
専任技術者の設置に関する注意点
専任技術者を設置する際には、以下の点に注意する必要があります。
(1) 常勤性の確保
専任技術者は、営業所に常勤していることが求められます。兼任が認められるケースもありますが、基本的には他の営業所や他社と掛け持ちすることはできません。
(2) 実務経験の証明
実務経験を要件とする場合、過去の工事経歴や雇用証明書の提出が必要です。特に個人事業主として働いていた場合は、工事契約書や請求書などを証拠として提示する必要があります。
(3) 建設業許可の業種ごとの要件
建設業許可には29の業種があり、それぞれで求められる資格や経験が異なります。例えば、電気工事業の専任技術者になるには電気工事士の資格が必要ですが、土木工事業では施工管理技士の資格または実務経験が求められます。
専任技術者の不在によるリスク
専任技術者がいない、または要件を満たしていない場合、以下のリスクがあります。
- 建設業許可の取り消し:専任技術者が不在のまま許可を維持することはできません。
- 新規許可・更新の不許可:許可を申請・更新する際に、専任技術者の要件を満たしていないと許可が下りません。
- 信用の低下:適正な技術管理が行われていないと、取引先や発注者の信用を失う可能性があります。
まとめ
建設業許可において、専任技術者は欠かせない存在です。技術的な管理を担う責任者として、適切な資格や経験を持つ人材を確保することが求められます。許可の取得や更新をスムーズに進めるためにも、事前に要件を確認し、適切な対応を取ることが重要です。