土地や建物を利用する際、「この場所に通路を作りたい」「水路に橋をかけたい」といったケースがあります。こうした場面で必要になることがあるのが法定外公共物使用許可申請書です。
聞き慣れない言葉ですが、不動産の活用や建築計画に大きく関係する重要な手続きです。本記事では、法定外公共物の基本から申請の流れ、注意点まで分かりやすく解説します。
法定外公共物とは?
法定外公共物とは、道路法や河川法などの法律が適用されない公共物のことを指します。代表的なものは次の通りです。
- 里道(りどう):昔から地域住民が通行に使ってきた道
- 水路:農業用排水路や用水路
- 沼地やため池 など
これらはもともと国が所有していましたが、2000年前後に進められた「地方分権」の流れにより、多くが市町村へ譲与され、現在は自治体が管理しています。
つまり、「見た目はただの細い道」でも公共物である以上、勝手に使用することはできません。
使用許可が必要になるケース
次のような場合には、法定外公共物の使用許可が必要になる可能性があります。
1. 通路や出入口として使用する場合
敷地が道路に接しておらず、里道を通らないと出入りできない土地では、橋やスロープを設置するケースがあります。
2. 水路に工作物を設置する場合
例えば、
- 車両乗り入れのための橋
- 排水管の設置
- 占用物の設置
などが該当します。
3. 工事のために一時的に使用する場合
足場の設置や資材置き場として利用する場合でも、許可が必要になることがあります。
ポイントは、「継続的・排他的に使うかどうか」です。判断に迷う場合は、事前に自治体へ相談するとよいでしょう。
法定外公共物使用許可申請書とは?
法定外公共物使用許可申請書とは、自治体が管理する公共物を適法に使用するための正式な申請書です。
許可を得ずに使用すると、
- 原状回復命令
- 工作物の撤去指示
- 損害賠償
などのリスクがあります。
不動産取引の際に問題が発覚し、売買が止まるケースもあるため注意が必要です。
申請の流れ
一般的な手続きの流れは次の通りです。
① 事前相談
まずは市町村の担当課(道路管理課・土木課など)へ相談します。
ここで確認される主なポイント:
- 使用目的の妥当性
- 安全性
- 周辺への影響
自治体ごとに基準が異なるため、この段階が非常に重要です。
② 必要書類の準備
主に以下の書類が求められます。
- 使用許可申請書
- 位置図
- 公図写し
- 平面図・構造図
- 現況写真
- 土地所有者の同意書(必要な場合)
図面の精度が低いと再提出になることも多く、実務では時間がかかりやすい部分です。
③ 審査
自治体が安全性や公共性を審査します。
チェックされる例:
- 通行の妨げにならないか
- 排水機能を阻害しないか
- 災害時に支障がないか
内容によっては条件付き許可となることもあります。
④ 許可・使用開始
許可後、占用料(使用料)が発生する場合があります。
金額は自治体や使用面積によって異なりますが、毎年支払いが必要なケースもあるため、長期的なコストとして考えておきましょう。
申請時の注意点
無断使用は絶対に避ける
「昔から使っているから大丈夫」と思っていると、後から是正を求められることがあります。
特に注意したいのは土地購入時です。前所有者が無許可で使用していた場合でも、責任は新所有者に及ぶ可能性があります。
購入前には必ず調査を行いましょう。
建築計画に影響する可能性がある
法定外公共物を通らなければ接道条件を満たせない場合、許可が下りないと建築自体ができないこともあります。
建築確認の前にチェックすることが重要です。
自治体ごとにルールが違う
提出書類、占用料、許可基準などは自治体によって異なります。
例えば、
- 更新が必要な自治体
- 名義変更届が必要な自治体
- 使用期間が定められている自治体
など様々です。
全国一律ではない点に注意しましょう。
行政書士に依頼するメリット
法定外公共物の申請は、一見シンプルに見えて実務では次のような負担があります。
- 図面の収集・作成
- 管理課との事前協議
- 必要書類の整理
- 補正対応
特に建築や不動産取引が絡む場合、スケジュール遅延は大きな損失につながります。
行政書士に依頼することで、
- 手続きの迅速化
- 不備の防止
- 関係機関との調整
が期待できます。
「許可が必要か分からない」という段階から相談できるのも専門家を利用するメリットです。
まとめ
法定外公共物使用許可申請書は、自治体が管理する里道や水路などを適法に使用するために欠かせない手続きです。
重要なポイントを整理すると:
- 法定外公共物は勝手に使用できない
- 建築や土地活用に大きく影響する
- 自治体ごとに基準が異なる
- 無断使用はリスクが高い
不動産の購入や建築計画の前に確認しておくことで、将来的なトラブルを防ぐことができます。
「この通路は使えるのか?」「申請が必要なのか?」といった疑問がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。





