相続における銀行手続きの流れ

相続が発生すると、被相続人(亡くなった方)の銀行口座は凍結され、預貯金を引き出すことができなくなります。預金を相続人が引き継ぐためには、銀行で所定の手続きを行う必要があります。本記事では、相続における銀行手続きの流れとポイントについて解説します。

1. 銀行口座の凍結と確認

被相続人が亡くなったことを銀行が知ると、その方名義の口座は凍結されます。口座凍結の主な目的は、相続トラブルの防止です。口座が凍結されると、預金の引き出しや振り込みができなくなるため、相続人は迅速に手続きを進める必要があります。

銀行に対して被相続人の死亡を伝える際、以下の書類が求められることが一般的です。

  • 被相続人の死亡届(または死亡診断書のコピー)
  • 相続人であることを示す戸籍謄本
  • 依頼者の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)

2. 必要書類の準備

銀行で相続手続きを進めるためには、さまざまな書類を準備する必要があります。金融機関によって異なる場合がありますが、一般的に求められる書類は以下のとおりです。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺言書(ある場合)
  • 遺産分割協議書(相続人が複数いる場合)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 銀行所定の相続手続き申請書

3. 相続方法の確認

相続手続きでは、相続人がどのように遺産を分けるかを決める必要があります。相続方法としては、以下のようなパターンがあります。

  • 単独相続:一人の相続人が預金を相続する場合
  • 共有相続:複数の相続人が共同で相続する場合
  • 遺産分割協議による相続:相続人全員で協議して、預金の分配を決定する場合

遺産分割協議書を作成する際は、相続人全員の同意が必要です。また、金融機関によっては所定のフォーマットがあるため、事前に確認するとスムーズです。

4. 銀行での手続きの流れ

書類の準備が完了したら、銀行で相続手続きを進めます。

  1. 銀行に連絡
    • 事前に被相続人の口座がある銀行へ連絡し、必要書類や手続きの流れを確認します。
  2. 必要書類の提出
    • 銀行窓口または郵送で必要書類を提出します。
    • 不備があれば再提出を求められることがあるため、慎重に確認しましょう。
  3. 銀行による審査
    • 提出書類の確認後、銀行が手続きを進めます。
    • 遺言書の有無や遺産分割協議書の内容によって、手続きの進行が異なる場合があります。
  4. 預金の払い戻し・名義変更
    • 問題がなければ、指定の口座に預金が振り込まれる、または名義変更が行われます。
    • 共有名義で相続する場合は、相続人全員の同意が必要となります。

5. 相続税の確認

相続した預貯金は、相続税の課税対象となる場合があります。相続税の申告・納付が必要かどうかを確認し、必要な場合は期限内に手続きを行いましょう。相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。

6. 手続きのポイントと注意点

銀行での相続手続きをスムーズに進めるためのポイントを押さえておきましょう。

  • 早めに銀行に相談する
    • 各銀行ごとに手続きが異なるため、早めに確認し、必要書類を揃えましょう。
  • 戸籍謄本の取り寄せに時間がかかることを考慮する
    • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得するには時間がかかる場合があります。早めに準備しましょう。
  • 遺産分割協議書の作成は慎重に
    • 相続人全員の合意が必要なため、慎重に作成し、誤りがないか確認しましょう。
  • 相続税の申告を忘れずに
    • 一定額以上の遺産を相続した場合、相続税の申告が必要になります。税理士などの専門家に相談するのも一つの方法です。

まとめ

相続における銀行手続きは、必要書類の準備や相続人全員の合意が必要になるため、時間がかかることが多いです。スムーズに手続きを進めるためには、早めの準備と正確な情報収集が重要です。

相続手続きに不安がある場合や、専門家のサポートが必要な場合は、行政書士や税理士に相談することをおすすめします。当事務所では、相続手続きに関するサポートを行っていますので、お気軽にご相談ください。