はじめに:民生委員ってどんな人?
皆さんは「民生委員」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
地域の見守り役として高齢者支援や子育て相談などを行っている存在ですが、実際にどのような仕事をしているのか、詳しく知っている人は多くありません。
民生委員は、地域住民の生活を支えるボランティアであり、法律上も「非常勤特別職の地方公務員」と位置づけられています。
報酬はなく、その活動はあくまで奉仕として行われていますが、地域福祉の現場では欠かせない役割を担っています。
この記事では、民生委員の役割・仕事内容・選ばれ方・相談できる内容などをわかりやすく解説します。
民生委員とは?法律上の位置づけ
民生委員は「民生委員法」に基づいて設置されている制度で、全国の市町村ごとに配置されています。
担当区域ごとに選任され、地域住民の生活状況を把握し、相談を受けたり、行政の支援制度へつなぐ橋渡しを行う役割を担います。
なお、児童福祉分野の役割も兼ねているため、民生委員は同時に「児童委員」としても活動します。
つまり、民生委員 = 児童委員であり、1人2役を担っているということになります。
民生委員の主な活動内容
民生委員の業務は多岐にわたりますが、大きくまとめると次のような活動があります。
高齢者の見守り・安否確認
- 独居高齢者の定期訪問
- 認知症が疑われる場合の行政機関への連絡
- 介護保険制度などの相談窓口の案内
子育て・児童福祉に関する相談対応
- 子育て中の親の悩み相談
- 児童虐待が疑われる場合の通報・支援連携
- 就学・生活支援情報の提供
生活困窮者の支援
- 経済的に困っている家庭の相談
- 生活保護や支援制度の案内
- 行政や社会福祉協議会との橋渡し
障害者・ひとり親家庭などへの支援
- 障害者手帳、支援制度、介護サービスなどの情報提供
- 地域の福祉イベントの企画・運営
行政と住民をつなぐ役割
- 福祉制度の周知
- 調査への協力(高齢者実態調査など)
- 災害時の要配慮者支援情報の把握
民生委員はボランティア?報酬はある?
結論として、民生委員に給料はありません。
「民生委員法」において、活動はあくまでボランティア精神による奉仕と規定されています。
ただし、活動に必要な費用(交通費、消耗品など)は市町村や国の予算から支給されます。
また、研修参加費や通信費なども一定の範囲で補助されます。
民生委員になるには?任期や選任方法
民生委員は立候補制ではなく、「推薦 → 厚生労働大臣の委嘱」という手順で選任されます。
【基本的な流れ】
- 市町村の推薦会が候補者を選出
- 都道府県を通じて厚生労働大臣が委嘱
- 任期は3年(再任可能)
【民生委員になる条件(例)】
- 地域で信頼を得ている人物
- 人柄や協調性がある
- 秘密保持を守れること
- 年齢はおおむね70歳以下が目安(ただし例外あり)
特に自治会や町内会などからの推薦が多く、地域活動に積極的な人が選ばれる傾向があります。
民生委員に相談できること
「こんなこと聞いていいのかな?」と思う人も多いですが、民生委員は“福祉の何でも相談窓口”として機能しており、以下のような相談が可能です。
- 介護や福祉サービスの利用方法
- 老親の一人暮らしが心配
- 子どもの発達や学校生活の悩み
- お金に困っているが誰に相談すればいいかわからない
- DV・虐待を疑うケース
- 隣人の様子が気になる(孤独死リスクなど)
ただし、法的手続きや専門判断が必要な場合は、行政機関や専門職(行政書士、弁護士、社会福祉士など)に繋ぐ役割を担います。
民生委員との上手な関わり方
- 困ったときは遠慮せず相談してOK
- 個人情報は守られるので安心して話せる
- 地域の支援制度を知っている「案内人」として活用できる
- 福祉の専門家ではないため、専門機関との連携が前提
民生委員は“支援の入口”であり、あなたと行政サービスをつないでくれる存在です。
まとめ
民生委員は、地域に住む人々の生活を支える重要な存在です。
特に高齢化社会や地域コミュニティの希薄化が問題となる中、その役割はますます重要になっています。
- 民生委員は無報酬のボランティア
- 高齢者・子ども・生活困窮者など幅広く支援
- 地域と行政をつなぐ橋渡し役
- 誰でも気軽に相談できる
もし地域に民生委員がいるなら、「顔を知っておく」だけでも安心につながります。
そして、もしあなたが地域の支え手に興味があるなら、民生委員活動に参加するという選択肢もあるかもしれません。





