本籍地に行かなくても戸籍が取れる便利な制度について

今回は、2024年3月から本格的にスタートした「戸籍の広域交付制度」について解説します。

「戸籍謄本を取りたいけど、本籍地が遠くて行けない…」
「郵送請求は面倒…」

そんなお悩みを持つ方にとって、とても便利な制度です。

この記事では、

  • 広域交付制度とは何か
  • どこで、どのように申請できるのか
  • 注意点や、使えないケース

などをわかりやすくご紹介します。


戸籍の広域交付制度とは?

戸籍の広域交付制度とは、これまで本籍地の市区町村でしか取得できなかった「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」などを、全国どこの市区町村の窓口でも取得できるようにする制度です。

この制度によって、たとえば…

【例】本籍が北海道、現在は群馬県に住んでいる人
→ これまでは北海道の役所に出向くか、郵送で戸籍請求をしなければなりませんでした。
→ 今後は、群馬県内の最寄りの市区町村役場で戸籍を取得できます!

非常に便利な仕組みですよね。


どんな戸籍が取れるの?

以下のような書類が、広域交付で取得可能です。

  • 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
  • 戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)
  • 除籍謄本・除籍抄本
  • 改製原戸籍

つまり、現在の戸籍だけでなく、過去の戸籍も取得可能です。

ただし、「除籍」や「改製原戸籍」は、デジタル化されていない場合、すぐに発行できないことがあります。


どこで、どうやって申請するの?

申請は、全国どこの市区町村役場でも可能です。
住んでいる場所に関係なく、通勤先や旅行先の役所でもOK。

【必要なもの】

  1. 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
  2. 申請理由(相続、年金手続きなど)

申請書には、本籍地や筆頭者の情報を記入する必要があります。事前に確認しておきましょう。


申請できる人は?

この制度で戸籍を請求できるのは、

  • 本人
  • 配偶者
  • 直系尊属(父母、祖父母)
  • 直系卑属(子、孫)

に限られます。

兄弟・姉妹や叔父・伯母であっても請求することはできません。また、第三者による取得(代理人申請)も認められていません。


利用時の注意点

① 戸籍附票・身分証明書は対象外

広域交付制度では、「戸籍謄本」などは取得できますが、以下の書類は対象外です。

  • 戸籍の附票
  • 身分証明書
  • 独身証明書
  • 住民票(これはそもそも本籍地とは関係ない)

これらは、これまで通り本籍地の市区町村に請求が必要です。


② 郵送請求やオンライン取得は対象外

「広域交付」は、窓口での対面申請が原則です。郵送やマイナンバーカードによるオンライン請求には対応していません。

つまり、「全国どこでも取れる」=「どこの役所でも“窓口で”なら取れる」という意味です。


③ すぐに発行されないことも

広域交付の戸籍は、本籍地のデータをオンラインで確認して発行するため、通常の戸籍請求よりも時間がかかることがあります。

混雑時には、当日受け取れないケースもありますので、余裕を持って申請しましょう。


どんなときに役立つ制度?

この制度が特に役立つのは、以下のようなケースです。

  • 相続手続きで、故人の出生から死亡までの戸籍を集めるとき
  • 離婚・婚姻などの手続きに関連する戸籍が必要なとき
  • 年金・保険の請求に必要な戸籍謄本を取得したいとき

相続などでは複数の本籍地にまたがることも多いため、時間と手間を大きく減らせます。


行政書士にも相談を

戸籍は、見慣れない漢字や専門用語が多く、初めて見ると戸惑う方も多いです。特に、相続の場面では「誰が相続人か」を確定するために戸籍の読み解きが必要になります。当事務所では、戸籍の取得サポートだけでなく、相続関係説明図の作成や遺産分割協議書の作成までトータルで対応可能です。

「自分で戸籍を集めるのが不安…」
「手続きに時間がかかって困っている…」

そんな方は、お気軽にご相談ください。


まとめ

戸籍の広域交付制度は、これまでよりもずっと戸籍が取得しやすくなる便利な仕組みです。

  • 全国どこの役所でも申請可能
  • 本人や直系親族であれば取得できる
  • 相続や年金などの手続きがスムーズに

ただし、対象外の書類もあるため、申請前にはしっかり確認しておくことが大切です。

制度をうまく活用して、手続きをスムーズに進めましょう!