前回の記事では、「群馬県再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例」が制定された背景や、規制対象となる事業について解説しました。
令和8年(2026年)10月1日から施行されるこの条例では、一定の再生資源物屋外保管業を営む場合、県知事の許可が必要となります。
しかし、「許可を受けるには何をすればよいのか」「いつから準備を始めればよいのか」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。今回は、許可取得までの流れや注意点について解説します。
許可制度が導入される理由
条例の最大の特徴は、「届出制」ではなく許可制を採用したことです。
届出制度では、必要書類を提出すれば営業を開始できるケースが多くあります。
一方、許可制度では、施設の構造や事業計画、申請者の適格性などについて県が審査を行い、基準を満たした場合にのみ営業が認められます。
スクラップヤードは火災や環境汚染などのリスクを伴うため、事前審査を行うことで安全な施設づくりを促すことが目的です。
許可の対象となる事業者
条例の対象となるのは、金属又はプラスチック(これらを含む混合物を含む。)を屋外で保管・処理する事業で、一定の機械を使用する事業者です。
例えば、
- 金属スクラップヤード
- 非鉄金属の集積場
- 廃プラスチックの保管施設
- 電線・ケーブルの保管施設
などが該当する可能性があります。
対象となるか判断が難しい場合は、事前に県や行政書士へ相談することをおすすめします。
新規事業者と既存事業者で手続きが異なります
新規事業者
条例施行後に新たに事業を開始する場合は、営業開始前に許可を取得しなければなりません。
許可を受けずに営業を開始すると、条例違反となるおそれがあります。
既存事業者
令和8年9月30日以前から営業している事業者には経過措置があります。
施行後6月間以内(令和9年3月31日まで)に届出を行うことで、「みなし許可」を受けることができます。
ただし、届出を忘れた場合は通常の許可申請が必要となる可能性がありますので、十分注意してください。
許可申請までの流れ
スクラップヤードの許可は、一般的な許認可よりも準備期間が長くなります。
おおまかな流れは次のとおりです。
① 開業計画・土地の確認
まずは予定地がスクラップヤードとして利用できる土地か確認します。
この段階で、
- 都市計画法
- 農地法
- 建築基準法
- 盛土規制法
- 消防法
など、関係法令も確認しておくことが重要です。
土地を契約した後に「許可が取得できない」と判明すると、大きな損失につながる可能性があります。
② 県への事前相談
計画がまとまったら、県へ事前相談を行います。
施設の概要や保管する再生資源物、敷地の状況などを説明し、条例の対象となるか、許可取得が可能かなどについて確認します。
この段階で課題が見つかることも少なくありません。
③ 事前協議
条例では、許可申請の前に事前協議を行うこととされています。
事前協議では、
- 施設計画
- 配置計画
- 排水計画
- 保管方法
- 火災対策
などについて県と協議を行います。
場合によっては計画の見直しを求められることもあります。
④ 市町村・関係機関との調整
事業内容によっては、市町村や消防署など関係機関との協議も必要になります。
例えば、
- 消防設備
- 接道状況
- 開発行為
- 排水処理
などについて確認が行われます。
⑤ 周辺住民への説明
一定の場合には、近隣住民へ事業内容を説明することが求められます。
スクラップヤードは地域への影響が大きいため、事前に丁寧な説明を行い、理解を得ることが重要です。
住民との良好な関係づくりは、事業開始後のトラブル防止にもつながります。
⑥ 許可申請
事前協議が終了した後、正式な許可申請を行います。
申請には、
- 許可申請書
- 事業計画書
- 配置図及び付近の見取図
- 平面図、立面図、断面図、構造図及び設計計算書
- 登記事項証明書及び公図
- 住民票の写し
- 法人の場合は定款及び登記事項署名書
- 標準作業所
- その他条例で定める添付書類
など、多くの書類が必要になります。
書類に不備があると補正を求められ、許可までの期間が延びることがあります。
新規の許可申請には手数料として56,000円がかかります。(変更許可申請48,000円)
⑦ 審査・許可
県による審査が行われ、条例の基準を満たしていると認められれば許可が交付されます。
許可を受ける前に営業を開始することはできません。
⑧ 施設整備・完成検査
施設を整備した後は、完成検査を受けます。
施設が事前協議や許可内容どおりに整備されているかが確認されます。
⑨ 営業開始
完成検査を経て、ようやく営業を開始することができます。
許可を受けられない場合もあります
条例では、一定の場合には許可を受けることができません。
例えば、
- 欠格要件に該当する場合
- 構造基準を満たしていない場合
- 維持管理体制が不十分な場合
- 関係法令に適合しない場合
などです。
「土地を借りた後」「工事を始めた後」に問題が判明すると、多額の損失につながる可能性があります。
そのため、事前調査が非常に重要になります。
まとめ
群馬県スクラップヤード条例では、許可申請の前に事前協議や関係機関との調整など、多くの準備が必要になります。
また、条例だけでなく、都市計画法や農地法などの関係法令も確認しなければなりません。
事業を円滑にスタートさせるためには、早い段階から計画を立て、専門家へ相談しながら進めることが大切です。
次回(第3回)は、「構造基準・維持管理基準」を中心に、囲い・排水設備・火災対策・標識・帳簿など、営業開始後に守るべきルールについて詳しく解説します。





