
飲食店を開業しようと考えたとき、「居抜き物件」が気になるという方も多いのではないでしょうか。前のテナントの設備がそのまま残されている居抜き物件は、内装や厨房機器を一からそろえる必要がなく、初期費用を抑えてスピーディーに開業できる点が大きな魅力です。
しかし、居抜き物件には思わぬ落とし穴があるのも事実。特に「飲食店営業許可」を取得する際には、設備がそのまま残っているからといって安心はできません。
今回は、居抜き店舗で飲食店を開業する際のメリットとデメリット、そして営業許可を取る際の注意点について、行政書士の視点から解説します。
居抜き店舗とは?
「居抜き店舗」とは、前の営業者が使用していた内装や厨房機器、什器備品などがそのまま残された状態の店舗物件のことを指します。
たとえば、以前ラーメン屋が入っていた居抜き物件で新たにカフェを始める、というケースも珍しくありません。スケルトン(内装・設備が一切ない状態)物件に比べて、費用と時間の面で大きなメリットがあるといえます。
居抜き店舗で開業するメリット
1. 初期費用を大幅に抑えられる
最大のメリットは、厨房機器や内装工事の費用を抑えられることです。とくに業務用冷蔵庫やガスコンロ、換気設備などは高額になりがちですが、それらがすでに揃っているため大幅なコスト削減につながります。
2. 開業までのスピードが速い
設備が整っている状態からスタートできるため、工事期間が短く済みます。その分、営業許可取得やメニュー開発に集中できるのもポイントです。
3. 立地がすでに飲食向けに適している
以前も飲食店として使われていた場所なので、水道・ガス・電気の容量や動線などが飲食店向けになっていることが多いです。
居抜き店舗のデメリット
1. 設備の状態が不明確
前のオーナーが残していった設備が老朽化していたり、不具合があったりする場合もあります。購入や引き継ぎの際に十分な確認を怠ると、修理費用が発生して結果的に高くつくことも。
2. 営業許可がそのまま使えるわけではない
よく誤解されがちですが、前の店舗で営業許可を取っていたからといって、そのまま新しい営業者が使えるわけではありません。営業許可はあくまで「人」と「場所」がセットで付与されるため、新たに許可申請を行う必要があります。
3. 保健所の基準に適合していない可能性
数年前に許可を取得した設備が、現在の基準では不足しているケースもあります。たとえば、手洗い器の数が足りない、床の材質が不適切など、現地調査で指摘されることも少なくありません。
営業許可申請時のチェックポイント
1. 事前に保健所へ相談を
居抜き物件を選ぶ前に、必ず管轄の保健所に図面や現地写真を持って相談に行くことをおすすめします。基準を満たしていない部分を指摘してもらい、どこを改修すればよいか明確にしましょう。
2. 図面の有無を確認する
営業許可申請には厨房・客席などの配置を示す平面図(設備図面)が必要です。前のオーナーや不動産会社に依頼して、なるべく早い段階で入手しましょう。
3. 機器の動作確認と契約条件の確認を
厨房機器が正常に動くかを必ず確認してください。また、設備が「残置物扱い」か「譲渡契約に含まれるか」も重要です。残置物の場合、故障していても保証されないことがあります。
こんなときは行政書士にご相談を
居抜き物件を活用して飲食店を始めたいとお考えの方にとって、「営業許可が取れるかどうか」は極めて重要なポイントです。物件の選定段階から、行政書士に相談することで無駄な工事やトラブルを未然に防ぐことができます。
当事務所では、物件選びのアドバイスから保健所との事前相談の同行、営業許可の書類作成・提出まで、ワンストップでサポートしています。特に高崎市や群馬県内で開業を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
居抜き店舗は、コストを抑えてスピーディーに開業できる大きなメリットがあります。一方で、設備の劣化や営業許可基準の不適合など、思わぬ落とし穴もあります。後悔のない開業を目指すためには、物件の選定から許可取得まで慎重に進めることが大切です。何かご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。あなたの飲食店開業を、全力でサポートいたします。