2025年の風営法の改正により罰金3億円に大幅アップ?!

2025年3月7日、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)の改正案が閣議決定されました。今回の改正は、ホストクラブ等での過剰な売掛営業や違法スカウト行為への対処を中心に、風俗営業業界全体の健全化を図る内容となっています。

特に注目されているのは、無許可営業(無免許営業)に対する罰則の大幅強化です。これまで以上に厳しい罰則が科されることになり、今後は形式的な法令遵守だけでなく、実態に即した適正運営が求められます。


改正の背景

ホストクラブの売掛金トラブル、恋愛感情を利用した営業、そしてスカウトによる性風俗紹介といった問題が、女性の人権侵害や犯罪の温床として社会的な問題となっていました。これを受けて警察庁は、違法行為の抑止力を高めるために風営法の厳格化に踏み切りました。


主な改正ポイント

接待飲食店営業に対する遵守義務の追加

  • 虚偽の料金説明の禁止
  • 恋愛感情を利用した色恋営業の一部禁止
  • 注文していないドリンク・サービスの提供禁止

これらを違反した場合、営業停止などの行政処分が下される可能性があります。


売掛金トラブルへの明確な規制

  • 売掛金の回収目的での威迫・脅迫の禁止
  • 支払いのために風俗業への従事や売春、AV出演などを要求する行為の禁止

このような行為に対しては、以下の刑罰が科されます:

  • 6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

性風俗店におけるスカウトバック(紹介料)全面禁止

  • ソープランドやデリヘル等において、キャストを紹介した者への報酬(いわゆる「スカウトバック」)の支払いが禁止されます。
  • 友人や家族による紹介であっても、報酬の支払いがあれば違法となり、組織犯罪処罰法等に基づいて処罰の対象となります。

無許可営業・名義貸しに対する罰則強化

これまでの罰則では実効性に乏しく、無許可営業や名義貸し(第三者に自分の営業許可を貸して営業させる行為)が見落とされるケースもありましたが、今回の改正により以下のように大幅に罰則が引き上げられました

  • 個人(経営者・従業員等)に対しては
     →「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方
  • 法人に対しては
     →「3億円以下の罰金

これは従来の「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」という水準から大幅に引き上げられたもので、悪質な無許可営業を一掃することが狙いです。また、名義貸しは貸した側・借りた側の両方が処罰対象になる点に注意が必要です。

施行時期と実務への影響

改正法は2025年中の施行が予定されており、公布の日から1ヶ月で施行されます。

すべての風俗営業関係者に求められるのは、

  • 自店舗の営業許可や届出の適正性の再確認
  • 実態と届出の整合性の確保
  • 接客手法・営業方法の見直し
  • キャスト・従業員への教育と研修

です。


まとめ

2025年の風営法改正は、単なる規制強化にとどまらず、業界の信頼回復と健全化を目的とした本格的な改革です。特に「無許可営業の厳罰化」は、誠実に運営している事業者を守り、不正業者を市場から排除するための大きな一歩です。

今後の法令対応に不安のある方は、行政書士や風営法に詳しい専門家への早めの相談をおすすめします。正しい知識と適切な手続きで、クリーンな営業体制を整えていきましょう。