家族信託が必要な人とは

家族信託(民事信託)は、財産管理や相続対策の新しい手法として注目を集めています。しかし、この仕組みは誰にでも適しているわけではありません。この記事では、家族信託が特におすすめな人について解説します。


家族信託とは?

まずは家族信託の基本について簡単におさらいしましょう。

家族信託とは、自分の財産を信頼できる家族や親族に託し、財産の管理や運用、最終的な承継を指定通りに行ってもらう仕組みです。委託者(財産を託す人)が受託者(財産を管理する人)に財産を託し、その利益を受益者(利益を受け取る人)が享受します。

この仕組みの特徴は、遺言や成年後見制度では難しい柔軟な運用が可能であることです。


家族信託がおすすめな人の特徴

では、どのような人が家族信託に適しているのでしょうか?以下の特徴を持つ人々が特におすすめです。


1. 高齢で認知症リスクがある人

認知症になると、自分の財産を管理・運用することが難しくなります。その結果、不動産の売却や投資など重要な手続きができなくなり、家族も困るケースが多々あります。

家族信託の利点:

  • 認知症発症後も受託者が財産管理を継続できるため、資産運用や売却がスムーズに行えます。
  • 成年後見制度に頼らず、自分の意思を反映した財産管理が可能です。

2. 家業や資産を次世代に引き継ぎたい人

事業や不動産を所有している場合、相続の際にスムーズな承継が求められます。特に事業承継では、後継者が決まっていない場合や複数の相続人がいる場合にトラブルが発生することがあります。

家族信託の利点:

  • 後継者を明確に指定し、資産や事業の承継計画を具体的に立てられます。
  • 相続争いを防ぎ、家業の安定を図ることが可能です。

3. 財産管理に不安を感じる人

高齢者の中には、詐欺やトラブルで財産を失うリスクを心配する方もいます。家族信託を利用することで、こうした不安を軽減できます。

家族信託の利点:

  • 財産管理を信頼できる受託者に任せることで、不正利用や詐欺のリスクを回避できます。
  • 必要な生活費だけを受け取る仕組みを作ることで、計画的な生活が可能になります。

4. 特定の相続人に財産を分け与えたい人

家族間で特定の相続人に財産を多く分けたい、または遺留分の調整をしたい場合、遺言だけでは限界があります。

家族信託の利点:

  • 遺言と異なり、財産の分配に柔軟性がある。
  • 遺留分侵害額請求への対応策を立てることができる。

5. 障がいのある家族をサポートしたい人

障がいを持つ家族がいる場合、将来の生活や財産管理について不安を抱えることがあります。

家族信託の利点:

  • 障がいのある家族の生活費を確保しながら、財産を安全に管理することができます。
  • 信託終了時に他の家族へ財産を引き継ぐ計画を立てることが可能です。

家族信託を検討する際の注意点

家族信託には多くのメリットがありますが、以下の点に注意が必要です。

  1. 設計の複雑さ: 信託契約書の内容が複雑になりやすく、専門家のサポートが必要。
  2. 受託者の選定: 信頼できる受託者を選ぶことが不可欠。
  3. コスト: 信託契約書の作成や税務対応に費用がかかる。

まとめ

家族信託は、高齢化社会や多様な家族形態における財産管理・相続対策の有力な手段です。特に、認知症リスクのある方、事業承継を考えている方、障がいを持つ家族をサポートしたい方などにとって、大きなメリットがあります。

ただし、家族信託の設計には専門的な知識が必要です。弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に相談し、自分の状況に合った信託プランを立てることをおすすめします。

もし家族信託に興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。